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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実を観たよ

作家・活動家の三島由紀夫に魅せられた人々の思い TBSに眠る三島の貴重映像も多数公開 | WEBザテレビジョン

2020年公開。監督は豊島圭介。主演は三島由紀夫。ジャンルはドキュメンタリー。

三島由紀夫の特徴といえば強烈なまでの美意識だろう。この強烈なまでの美意識は自身の作品・作家論だけにとどまらず、人生観さえも変えてしまった。

いかにして美しい人生を歩むかといった問いに対し頭を悩ませるようになった三島は後年、ボディビルに傾倒する。そして晩年は「楯の会」とかいう訳の分からん政治団体を結成し、市ヶ谷駐屯地で自決する。

そんな漫画みたいな人生あるのかな?と耳を疑いたくなるが、本当にあったのだから面白い。

ボディビルに傾倒した理由は、恐らく青年時代に虚弱体質で軍人になれなかったというコンプレックスがあったからだろう。三島の運動神経の悪さと言ったら石原慎太郎がよくネタにしていて、「彼のボクシングをやる姿はお粗末だった」といつぞやの雑誌で語っていたのである。

三島は間違いなく天才でなぜ天才なのかと言われると東大卒→大蔵省勤務といった輝かしいキャリアがあるからといった単純な理由ではない。三島は自身の作品『金閣寺』執筆にあたり金閣寺の間取り図を全く見ていない状態で書いて見事に、実際の間取り図と一致させるという超人的な頭脳を見せたのだ。このエピソードを聞いただけで天才だって誰もがわかる。人が到底できないことを平気でやってしまう者それ即ち天才なのである。

だからこそ、三島は一般大衆が求めている答えを分かっているのだ。マスコミの取材に対しても何を言って欲しいかが意識せずとも分かってしまう三島は一躍文化的スターとして一般大衆から注目を浴びるようになってしまった。

現代で言うところのインフルエンサーである。よくクラスで特に話す訳でもないけど、一言のボケで笑いとるやついたけどあれにもシンパシーを感じるよね。人が求めている答えが分かる。これは特殊能力であり、鍛えて手に入れることができるような単純なものでは無いのである。

三島は文化的スターという印象がどんどん大きくなっていったが、決して本業である作家業は厳かにすることなくコンスタントに作品を発表していった。

愚直に作家だけをやっていればノーベル文学賞も獲ることが出来ただろう。しかし、"民衆の文化的スターである三島由紀夫"が浮き彫りとなってしまい、サービス精神旺盛な三島は民衆の声に応えざるおえなかったのかもしれない。

強烈な美意識は人生観を変えたっていうのは確かにあるけど、マスコミに葬られてしまった人物であるというのが正しいと思う。

あとは石原慎太郎のマッチョイズムの影響もでかいんじゃないかなあ。

因みに市ヶ谷駐屯地の屋上での三島の演説は自衛隊員からは全く聞こえていなかったらしい。最後の最後まで生粋のエンターテイナーである。

政治活動に力を入れた変な面白いおじさんというイメージから脱却し、作家として本当に評価される時代が来てくれることを願います。