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復讐するは我にありを観たよ

復讐するは我にあり - Movies on Google Play

1979年公開。監督は今村昌平。出演は緒方拳、三國連太郎ミヤコ蝶々倍賞美津子小川真由美。ジャンルはクライム、ドラマ。

原作は佐木隆三の小説であり、実際に起きた西口彰殺人事件を基に主人公・榎津のサイコパスを描いている。

そのサイコパスぷりと来たら恐ろしいもので、まず最初に会社の先輩にあたる人物の殺害からだが、金づちで頭を振りぬいて生起不能にさせると次の人物は包丁で突き刺す。突き刺された男が「娘がいるから許してくれあんたのことは何も言わん」と泣きながら許しを請うがそんなことは榎津からすればどうでもいいことなのである。結果山奥に捨てられてしまった。

榎津の狂気ぶりはまだまだ続く。弁護士のおやっさんを騙すと家を乗っ取っては殺し、平気な顔して弁当を平らげている。そうすると箪笥が開き、おやっさんの遺体が・・・おやっさんの殺害シーンの描写はなかったが、おやっさんの心中たるものはいかに。しかも実際の殺害現場のアパートでの撮影と言う気合の入りっぷり。こりゃたまげたな。にしても弁護士のおやっさんよもう少しいい家に住むべきではなかろうか。とても倹約家だったのですね。

さらに彼は殺人だけにとどまらず、多くの経歴詐称により詐欺を実行する。もはやキャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンのフランク・アバグネイル顔負けに職業を偽ってみせる。しかし、悲しいかな。こんな恐ろしい男でも顔がいいから女には苦労しないのだ。ディカプリオもイケメンだったしなー。悪い男って顔がいいから成り立つよなあ!

 

本作には希望といったものはない。榎津は一人で放浪をするんだけど、その旅先で出会った人に嘘をつき相手の懐に入り込む。挙句の果てにお世話になった旅館のおかみさんとその母まで殺すことになる。おかみさんの絞殺シーンはやはり一線を画している。それまで平然とやってのけた殺しも躊躇する榎津の姿があった。良心といえばとても聞こえはいいかもしれないが、平然とやってのけないところが人間味を感じて良かった。おかみさんと一緒に逃げるなんて手もあったのではないかなと。沖縄や台湾に移住する手もあったろうに。ソナチネみたいな選択肢もあるで!だが、榎津の頭の中にはそんな希望はなかった。まるで俺たちに明日はないである。残忍なる知能犯とはこのことだ。だが、そんな榎津に期待してしまったのはおかみさんの情夫のおやじが、彼女を無理やり犯した時だろう。

なんだろうなーここはやられたなー。榎津に期待しちゃったよなー。頼むその男をぶちのめしてくれと。包丁を握りしめる榎津を止めるおかみさんの母ときたら息子を思いやるような心境だろう。名シーンである。でもやはり次の日ぐらいにはおかみさんと寝ているのだからこの男・・・全く隙が無いのである。

 

今、このまま映画化しても問題なく大ヒットするだろう。40年近くも前の映画だが全く古臭さを感じない。というよりもサイコパスは今の時代の方がより身近になっている気がするもんで、むしろ今の人の方が受け入れやすいかもよ。とはいえあまりにも自己中心的な榎津に苛々する視聴者もいるでしょうから今日はこのへんにしておきます。

PS.アダルトコーナーにあっても違和感がないかも。

PS.PS.ちゃっかりあらすじなしです。もうなくてもいいよね・・・?