宇宙戦争を観たよ
2005年公開。監督はスティーブン・スピルバーグ。原作はH・G・ウエルズ「宇宙戦争」。出演はトム・クルーズ、ダコタ・ファニング、ジャスティン・チャットウィン、ミランダ・オットー、ティム・ロビンス。ジャンルはSF、パニック。
主人公レイを演じるのは我らがトム・クルーズだ。今からもう15年近く前の作品になるがトム・クルーズ変わらねえなーというのが正直な感想である。
子どもっぽくすぐムキになってしまう性格が、娘レイチェル役のダコタ・ファニングを惹きたてている良いスパイスだ。
「ET」、「未知との遭遇」など宇宙に関する作品を手掛けたスピルバーグ作品の中でも、「宇宙人による侵略」をテーマにした本作は異質とも呼べる。
スピルバーグは9.11同時多発テロ事件を意識しており、墜落したジャンボ旅客機などが登場する。
宇宙人から泣き叫びながら逃げる人々は当時の凄惨な思いを反映させているのだろう。
それではあらすじを語ります。
港湾業者・レイは離婚した妻が実家を訪ねる間、レイチェル、ロビーを預かっていた。しかし、レイはすぐカッとなる性格からか、息子であるロビーとの間で軋轢が生じてしまう。
ある日、レイは奇妙な稲妻を目にする。世界各国で大地震や大規模な停電など天変地異が起こっていたのだった。
そして、落雷近くの場所に行くと「トライポッド」を発見する。
なんとか逃げ延びたレイは車を手にし、3人で逃げる。
しかし、道の途中で群衆に巻き込まれ、拳銃を持っていたレイが発砲し周囲を鎮めるが、隙をついた瞬間男に拳銃を向けられてしまう。
車を失った3人はハドソン川を渡るフェリー船を目指す。
なんとか船に乗ることができたが、トライポッドに襲われ転覆してしまう。
決死の覚悟で、対岸に泳ぎ着いた3人はトライポッドの脅威に怯え、海兵隊を見届けようとしたロビーは火炎攻撃により行方不明になる。レイとレイチェルは空き家の地下室に潜り込み、救急隊のハーランとともに過ごすことになる。
宇宙からの侵略者により世界は混とんとしているが、地球人は征服されてしまうのか・・・
なんともオカルトかつSFかつパニックかつ、政治的側面を兼ね備えている作品だと思った。
そしてこういったパニック状態で何よりも恐ろしいのは人間である。
人間は極限状態に陥ったとき、何をしでかすのか分からないのである。無法地帯とはまさしくそういったパニック状態を示す言葉であるのだ。
フェリー船に乗るべく我こそが我こそがと船に乗ろうとする人々、3人の乗る車にしがみつく人々。
いずれにせよ相互扶助的な考えがなくなったときの人間は怖いと思い知らせる作品であった。