TIME/タイムを観たよ
2011年公開。監督はアンドリュー・ニコル。出演はジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・サイフリッド、キリアン・マーフィー、オリビア・ワイルド、マット・ボマー。ジャンルはSF、スリラー。
人類は遺伝子操作により25歳より歳をとらなくなった。急激に増加していった人口の抑制の為、通貨は”時間”となり人々は時間を支払い生活を営むようになった。物の売り買いから賃金の獲得まで左手に表示されている時間が示している。その時間がゼロになったとき、命の消滅を示している。何かの取引や善意で時間を与えるときに右手を掴み時間を与える。与えた側は時間が減少するというシステムだ。つまり時間が金銭だけではなく人の命まで支配するようになった。この世界では時間こそがすべてである。多くの時間を持っている者が富裕層とされ、彼らの生活は派手なものである。一方で貧困層は今日一日を生き残るだけで精一杯である。現在も存在する格差は時代が変わったとしても残っていた。
自己啓発書では「時間は誰にでも平等にある!あのビル・ゲイツやジェフ・ベゾスだって時間は平等に流れている!大事なのは時間の使い方だ!」みたいな本よく見かけるじゃないですか。何が平等だばかやろうって話ですよ。自己啓発書は一時的にやる気を出す効果はあるけど、それだけで特に何か変わったなんてことはあり得ないからね。中身スッカラカンでページ数だけはやたらと多いのが自己啓発書の特徴である。
本作は資本主義のトップオブトップに君臨する資本家に対する痛烈な批判を描いている。なんせ映画の世界では資本家や政治家は悪者ですから。映画は庶民の娯楽なんですからこれは仕方ないですよ。そんな資本家の娘を誘拐してその娘とともに過ごすスラム街出身の男が主人公である。普通に考えれば娘は激怒するはずである。「私の生活はどうなるのよ!洗濯だってできないし料理なんてしたらネイルがとれちゃうじゃない!」、「ねえ、お腹すいたわよ!はやくフォアグラ出して!」。このようにワガママ言いたい放題で挙句の果てに泣き出してしまい主人公を困らせるはずである。しかし、本作のヒロイン役の女性はそのようなワガママを言い出すことはなくむしろ主人公と恋をして、一生のパートナーとして悪さをしていくのである。まさにSF版”ボニーとクライド”だろう。そんな2人を追いかける時間警察とマフィアたち。本作に出てくる”タイム・バトル”とは腕相撲である。お互いの片腕をつかみあって時間を削り合い最後に0になった方が負けである。なんじゃそのバトルはと拍子抜けしてしまったが、主人公曰く勝つためのテクニックがあるらしく無理やり感が否めなかった。そんな非現実を楽しめるのは映画ならではやね。