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カリスマを観たよ

カリスマ | 映画 | 日活

1999年公開。監督は黒沢清。出演は役所広司池内博之、大杉蓮、風吹ジュン松重豊田中要次洞口依子。ジャンルはスリラー、ドラマ。

黒沢×役所コンビで『CURE』、『ニンゲン合格』に次ぐ三作目にあたり黒沢映画の中ではCUREと並び最高傑作と呼ばれる本作。CUREの鑑賞後、おもしれー‼となり他の黒沢作品も気になったので鑑賞することになった。…ものの、難解すぎて訳わからんちでしたよ。役者陣も今見ると割と豪華な気がする。なんてったって『孤独のグルメ』の松重豊がいるからね。あと『HERO』の田中要次だ。いぶし銀の俳優陣が顔を揃えている。

”世界の報復を回復せよ”という謎のメッセージを受け取った主人公の刑事・藪池五郎が放浪の末、出会った一本のそびえ立つ木、その名は『カリスマ』。

カリスマを巡る人間たちの攻防は見方によっては喜劇であり、世にも奇妙な物語に出てきそうな作品である。この不条理な世界を統括できるのってタモさんぐらいじゃね?って思ったのは俺だけかしら?しかし、黒沢映画はいきなり殺し合いがはじまるもんだからびっくりする。突然はじまってあっと言う間に終わるのだ。これが黒沢映画の特徴でしょうか。そういった点ではたけし映画と似ている。たけし映画のデビュー作であるその男凶暴につきもいきなり銃で人撃つからね。狂気の沙汰じゃないぜよ。間の抜けたBGMも秀逸である。

 

一本の木はあまりにも貧相でひ弱な木だし、おまけにいとも簡単に燃やされてしまう。でもそこはカリスマなのでどでかい木となって蘇ります。カリスマさん流石です。と言えばよろしいのでしょうか。

本作では様々な解釈がありまして、カリスマとは一体なんなんだろうかという疑問が残ります。何故そこまで一本の貧相な木を守る者がいるのか、害があるなら駆除するべきではなかろうか。主人公の藪池は対立する者達の間を目まぐるしく潜り抜けていく。一体どっちの味方なんだい?世渡り上手最強すぎるやろ。そしてまた最後に生き残るのは藪池のみ。突き放しっぷりも豪快だよね。挙句の果てに「あるがままでいい」だなんてジョン・レノンみたいなこと言い出すもんだから余計混乱してしまう。これも黒沢ワールドかく語りきでございますな。

自分なりに考えたのはカリスマの存在はおそらく”世界樹”なのではないでしょうか。世界が一本の木で成り立っているという考え方である。我々、霊長類の祖先は約6000万年にわたり樹上で生活を営んでいた。つまり世界は巨大な木でできているという考えである。巨大な木=世界。本作に出てくる人物は皆、目的や行動、発言はバラバラで勧善懲悪はない。つまり本作の視点は木そのものなのです。世界を俯瞰的に見ている木の視点なのです。勧善懲悪は私たちの勝手な見方で決まります。作品を制作した側が視聴者に悪役だと思わせる様にキャラを作ります。そういったものが本作にはないからより不気味に見えるし、難解に思えるのではないでしょうか。となると巨大な木=藪池と捉えることも出来る。藪池にはこれといった主張もないし、あるがままでいいなんて突き放してるし・・・

結論:考えるな感じろと言ったところでしょうか・・・