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ソナチネを観たよ

ソナチネ_強運がもたらす絶望【6点/10点満点中】(ネタバレあり・感想・解説) | 公認会計士の理屈っぽい映画レビュー

1993年公開。監督・主演は北野武。ジャンルはクライム、ドラマ。

北野武監督作品4作目。ただ公開後2週間で打ち切りとなってしまい、映画監督としての真価が問われる中、当時は失敗に終わった。公開後のバイク事故により『死』について見つめ直したたけし氏。今では世界のキタノと呼ばれ欧州にキタニストまで生んだ巨匠となってしまった(?)おまけに本作を北野作品の中でナンバー1とまで推す者まで出てくる騒ぎ。彼に感化されて映画の才能があると勘違いしたダウンタウン浜ちゃんじゃない方とは雲泥の差である。もちろんたけしが上ね。

えっとまあ、松ちゃんの話は置いといて・・・。初期の傑作とまで昇華されるようになった本作。主人公である村川はヤクザの組長であり、相手がヤクザだろうがカタギだろうが見境なく殺してしまう。そんな冷徹な男であるが、この主人公は『その男、凶暴につき』の刑事・我妻と何ら変わらない。職業が刑事からヤクザに変わったとて考え方はそのまんま東。傍若無人である。そんな村川はある日突然、「ヤクザを辞めたくなった」と後輩に打ち明けるのだ。そして沖縄では一転、羽を伸ばして遊び呆ける。おそらく自分がヤクザを続けていたとて何かが変わることでもないし、結局は同じことの繰り返しの日々に疲れてしまったのだろう。こういった現象はどんな職業の人間にもあてはまるもので、自分たちとは真逆の世界を生きているヤクザの世界の人間でも悩むものなのだ。

本作は感情を徹底的に排した作品であり余計な感情を抱くことはなかった。それは人によっては退屈でつまらないと感じるかもしれない。でも本作は所々美しいシーンがあって観ていてうっとりするというか無になれたのだ。何故か落ち着く。

当時は芸能界のBIG3として頂点に上り詰めたたけしだったが、『その男、凶暴につき』、『3-4×10月』と本作でたけしは演じた役全てで死んでるし、これは自殺願望があるようにも感じ取れるってことで、本作の主人公・村上もたけし自身と捉えられるのよ。でも当時のたけしってオウム真理教麻原彰晃に傾倒していたからその影響もあるのかな。いずれにせよたけしにとって死生観というのは永遠のテーマであり、そのために映画を製作しているんだろう。生と死は真逆の考えではあるが、今生きているから生きていることを考えるんだけど、いやちょっと待てよ死についても考えきゃだめじゃない?今を幸せに生きるって本当に正しい事なの?死について問うって悪い事なの?というのがたけしの持論なのである。

生きるのがしんどいと思うことは誰にでもあるし、息詰まる世の中で何かと大変な世の中、何故か気持ちが軽くなるような感覚になれるたけし作品。あなたもどうでしょうか。