シャイニングを観たよ
スティーブンキングがモダンホラーという新ジャンルを開拓した作品であり、その名を轟かせた作品である。
スタンドバイミーで不動の地位を築いたキングだが、だいたい同じぐらいの時期だろうなと調べてみたら本作は1980年公開となっておりスタンドバイミーの6年前だった。
本作もミスト同様に小説と映画での設定に若干の違いがあり小説家の主人公が住むホテルに邪悪な何かが宿るという点では同じだが、本作の映画はジャックニコルソンの狂気じみた演技に重きが置かれている。本作によりキングは監督のスタンリーキューブリックと確執が生まれドラマ版を再度制作しており、こちらの方がより原作に近いテイストになっているという。恋愛小説家でもジャックニコルソンは明らかに狂気じみていたと私は思っている。あまりにも神経質で思ったことを言ってしまうサイコパス的性格は小説家しか務まらないのかな。
ジャックニコルソンは芸達者というよりはジャックニコルソンというキャラクターの強烈さで一気に観衆の心をつかむと言った役者だ。
例えがあれだが木村拓哉にも近い。キムタクは俳優としての演技というよりもキムタクを演じていると言った感じ。ビートたけしもそうだ。一応脚本やらなんやらはあるんだろうけど与えられている役割は、俳優として何かの役を演じるというよりもこの演技をしてくれと言った感じだ。
そうなってくると俳優とは何か。そして役者とはという壁にぶつかる。
役者も俳優も同じ意味なのかな。
やはり俳優も個性がある。いくら役作りに徹したとしても個性は残る。というか個性を没したいと思っている俳優が殆どだと思う。じゃないと役に没頭できないし、自分の仕事の幅を広げることが出来ないからだ。
憑依芸人という言葉もある。コントをやる上でその役になり切るという意味だ。松本人志とか内村光良かな。この辺の人たちの方が役作りというものはしない(というのも極端な減量とかね)。しかし、なりきってるなー感はジャックニコルソンよりは感じてしまうのが元来、私がテレビっ子だからでしょうか。
前置きが長くなりすぎたが、この映画はホテルの闇に取りつかれるジャックニコルソンが狂気じみててとにかく怖い。
逃げる奥さんと息子。息子がとにかくかわいい。
そして冒頭でも述べたがモダンホラーについて触れたい。
外国のホラー映画ではそれまではスプラッター映画と言った怪物が出て人が血まみれになるという安価なものだった。いやもちろんスプラッター映画にも名作は多数あると思う。自分の知識不足かもしれないがストーリー展開よりもグロ描写に重きが置かれるというかそんな感じなので安価という言葉を使わせて頂きました。
しかし本作でキングが開拓したモダンホラーはそういった血なまぐささよりも、不思議な体験から生じる人間の狂気性を描いた。人間こそがホラーなのだ。
日本でキングが支持されている理由はそこにあると思う。
日本人って幽霊好きじゃん?でも幽霊なんて存在しないでしょう。でも存在するような気がするじゃん。
そういった見えないものに対する恐怖を秀逸に描くキングが俺は好きやねん。