グラン・トリノを観たよ
2008年公開。監督&主演はクリント・イースト・ウッド。ジャンルはクライム、ドラマ。
クリント・イーストウッド自作自演作品という事で、気難しい頑固親父を演じている。あまりにも自然な演技にこれってリアルなんじゃないの?素のクリント・イースト・ウッドじゃないの?と疑問符。
親父はその気難しさから息子夫婦からは毛嫌いされている。亡くなった奥さんの金目の品物を没収された挙句、1人での生活を余儀なくされてしまった親父は寂しさとは無縁である。何故なら犬を飼っているからだ。その犬は決して目立った行動は取らないが、いつも親父のそばを離れない。親父の日々は庭の前で椅子に座りながらビールを飲んで過ごすこと。飲んでいるビールは『パブスト・ブルーリボン』。これはアメリカの低所得者層が好んで飲むビールだ。そんな時にも犬は親父のそばから離れない。犬はクリント以外に懐く様子を見せないのもなんだか2人の信頼関係を結んでいる気がする。あれ、そういや犬の名前なんだっけ?まあ、いいやそこまで物語とは関係ないので。
パブスト・ブルーリボン飲んでみたいなーどんな味がするのでしょう。ポテトと相性よさそう。
本作はそんなビール飲みながら犬と友情を紡ぐ平穏な物語という訳ではなく、白人の人種差別がテーマにある。アメリカで差別の対象にされるのは黒人というイメージが多いかもしれないが、我々アジアンの方が差別の対象になりやすい。てか、白人は完全に黄色人種を舐めてる。オリンピックなんちゃらのバッハを見てれば分かるだろう。てか日本人を舐めてるのかな。あいつどこの国の人間だか分からねーや。
おっと話が脱線してしまった。
親父は典型的アメリカンで差別主義者だった。しかし、ある1人のアジアンの少女との出会いをきっかけにアジアンに対して考えを改めるようになる。
元々、朝鮮戦争に参戦した軍人だったという経緯もあり、愛国心と他国に対する敵対意識が強い。そして親父のパーソナルな部分でいうとぶっきらぼうな職人気質なのだ。言ってしまえばコミュ障である。亡くなった奥さんの葬式の後の食事会には多くの人が集まっているが、親父は有難迷惑と言った塩梅で人を煙たがっている。その人に対する拒絶反応は神父はおろか親族にまで飛び火する。
そんな人間不信の親父もある1人のアジアン少女との出会いからなりゆきでホームパーティに参加する。飯がタダで食えるという口実に乗っかった親父だったがそこで長老らしき人物から自身の心の内を読み解かれる。そこから隣家のアジアンであるモン族と親交を深めていく。とくに末っ子の少年とは仲睦まじく自身の息子のように接していた。仕事の仲介、自身が保有する工具の紹介、数少ない友人とのコントは余程、アジアンが親父に影響を与えたからに違いないだろう。だがしかし、親父自身に笑顔はなかった。不愛想な表情である。いや違う不愛想な表情こそがクリント・イースト・ウッドなのだ。ということで一貫して頑固親父を演じ続けたおやっさんに栄誉を称えようではないか。お前は一体何様だ?