セルラーを観たよ
2004年公開。監督はデヴィット・エリス。出演はキム・ベイシンガー、クリス・エヴァンス、ジェイソン・ステイサム、ウィリアム・H・メイシー。ジャンルはサスペンス。
本作にMVP賞があるとしたらお母さんだろう。彼女は生物の先生であり、作中では唯一(?)の理系出身者である。そんな理化学知識を本作では活かしてくれたことに経緯を讃えたい。あとはなによりもそのガッツである。
そのガッツは壊れた電話を修復するだけにとどまらず、敵役を1人殺めもう1人は意識を失わせるまでに及んだ。
お父さんよしっかりしろやと突っ込みたくなるが、家庭での主導権はお母さんにあるのだろうなとお財布事情も深刻だろうからそこまでは突っ込めなかったな。
兎にも角にもアメリカは何度も言うけどすげーのひと言である。
それではあらすじを語ります。
高校生の生物教師をしているジェシカ・マーティンはある日、見知らぬ男5人に誘拐されてしまう。
ジェシカは壊れた電話を修復し外部の助けを求める。
ジェシカの電話はライアンという大学生に繋がる。
ライアンは最初は疑っていたが、ジェシカの切迫した声に電話をつないだまま彼女を救助すべく行動に移す。
そこに警察巡査部長のムーニーが事件と絡んでいく。
ジェシカは救出できるのか・・・
訳も分からず人質にされた一家の母親が1台の電話を修復したまたま電話が繋がった。
事件に巻き込まれる主人公の心境はたまったもんではないだろう。10~20代がどハマりしているアプリ「斉藤さん」でこのようなシチュエーションに「よっしゃ!俺が助けるぜ!」と全身全霊をかけ救出に挑む若者がどれだけいるだろうか。ONE OK ROCK/皆無 が流れても不思議では無いだろう。
それぐらい青年は勇気溢れる行動をしたのだ。そして何よりも青年の電話口で顔も知らない女性を助けるという行為はエスカレートを増し、車の窃盗、巻き込み事故、携帯ショップで無実の市民に銃口を向ける、学校への不法侵入ともしかしたらコイツが1番悪いんじゃないかと思ってしまいそうな始末。まあこの辺はザ・アメリカン・ドリームってことで細かいことを気にしたらキリがない。
設定も秀逸で警察の汚職が背景にある。アメリカは移民で構成された国家であり、法律については州ごとによって異なる。州が1つの国家なのだ。多種多様な考えを持つ人々が集結しているのがアメリカ合衆国なのである。
となると基本的には自分の身は自分で守らなくてはならないのである。よく警察官と言い合いなり射殺されてしまう黒人がニュースに取り上げられるが、これも立派な汚職である。
そんな汚職に真っ向から立ち向かう警察一筋スパ経営志望の警察官も良かった。定年前に手柄を手に入れることが出来てさぞかし嬉しかったろう。