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レスリング・ウィズ・シャドウズを観たよ

ビンス・マクマホンが最近視聴者数が低下している理由を説明 | WWEの最新情報 USA

アメリカンプロレスに君臨する団体WWEをご存じだろうか。

今や俳優として大活躍しているドゥエイン・ジョンソンやディヴ・バティスタ、そして大物ハルク・ホーガンアンドレ・ザ・ジャイアントも所属していたプロレス団体。

そんなアメリカンプロレスでトップを張っているWWEだが経営難により一時は破産寸前まで、追い込まれていた時期があった。

それは1990年代のWCWの時代である。当時WWEWWFという団体名だった。

WCWはテッドターナーと言われるケーブルテレビ局(CNN)の社長がオーナーとして立ち上げた団体で、WWEと熾烈な視聴率戦争を繰り広げていた。マンデー・ナイト・ウォーズ、通称月曜夜の視聴率戦争だ。もともとWWFの番組「マンデー・ナイト・ロウ」が月曜日に放送していた同時間帯にWCWは「マンデー・ナイトロ」を放送させた。

団体間での競争は凄まじく、多くの選手の引き抜きや解雇が行われた。それだけではなくWWFはアティテュード時代というおふざけ・お下劣・なんでもありの面白くなきゃテレビじゃねえみたいな80年代のフジテレビのようになってしまったのだ。

プロレス団体でありながら選手たちのキャラクター性を求められるようになり、ポン引き、AV男優、凶悪犯罪者、へびつかい、多重人格者、墓堀人、ビンス会長一家たちのドラマのような展開、DXにおける性的アプローチ、ブラックパンサー党といった人種意識、WCWに対する徹底的批判などとにかくなんでもありだった。

それでもWCWは前述したスーパースターハルク・ホーガンが結成したNWO、無敵のスーパースターゴールドバーグの登場により視聴率戦争は2年近くWCWに軍配が上がった。

 

本作はプロレスのドキュメンタリー番組で「モントリオール事件」と呼ばれるプロレス界史上最大のスキャンダルである。

主人公のブレット・ハートと仕掛け人である経営者のビンス・マクマホン。ブレットは元々プロ意識が高くプロレスは健全たるものという考え方を持っていた。厳格なプロレス一家に育ったブレットは団体のアティテュード路線に対して不満を抱えていた。

一方のビンスは団体が経営難に陥り、ビッグネームの選手の移籍を考えていた。

その選手がブレット、ショーン・マイケルズ、アンダーティカーだった。ビンスはアティテュード路線を推しており、ブレットが邪魔者であったのだろう。

そうして、ブレットのWCWへの移籍は決まった。

 

特番「サバイバーシリーズ」の世界王座戦でブレット対マイケルズの試合が行われることになった。ブレット側の主張は地元カナダ・モントリオールでの試合は勝利し後日のロウで敗北し移籍決定の流れ。ビンス側は承諾した。そして緊張感あふれる中試合はスタートした。しかし事件が起こった、、、

 

試合終盤でマイケルズがブレットの必殺技であるシャープ・シューター(通称:サソリ固め)をかけたタイミングでビンスがレフェリーのコール・へブナーにゴングを要請する。試合終了。ブレットの要望であるモントリオールでの勝利は白紙となった。ブレットは何が起こったか分からないと言った表情で会場がざわつく異様な光景となってしまった。試合終了後、ブレットはビンスに噛んでいるガムを吐き出した。

当事者であるマイケルズはすぐさま逃げるように会場を去った。

アンダーテイカーはビンスの控室のドアをひたすら蹴り続けたという。

そしてトップスターであるブレット・ハートのプロレス人生も捻じ曲げてしまったのだ。

その後、翌日のロウではマイケルズ率いるDXがブレットをディスるパフォーマンスを披露。いくら仕事とはいえこれはやりすぎでは、、

WCWに移籍したブレットの活躍はWWFほどではなく下降を辿ってしまった。

この映画は賛否両論ある。ブレットかわいそうすぎという声もあれば、まじめすぎだろって意見もある。ましてや感情論でビジネスするな、ブレットうざいと言った声までむしろ批判の方が多いんじゃないのかなと思う。団体の時代の変遷期ということもあり、何が正しいか分からない状況で判断を下すビンスのプレッシャーも相当なものであったろう。

ビンスはその後引き抜きに合わないのは自分自身だと悟り、自らWWFのストーリーに絡むようになる。そして荒くれ者のストーン・コールド・スティーブ・オースチンとの抗争によりWWFWCWを猛追し視聴率戦争に勝利する。

その結果、WCWWWFに買収され、現在の地位を築き上げたのだ。

結果論だけを語ってしまえばビンスの判断は正しかったのかもしれない。この映画はブレットのエゴと語られることも多いが、それでもやはり1人のスーパースターがいなくなってしまったのだ。

こんなに面白いドキュメンタリー映画はない。はっきりと自信を持って言えますね。