Everything will be fine.

少しでも笑ってやってください!

ゼロ・ダーク・サーティを観たよ

キャスリン・ビグロー監督作『ゼロ・ダーク・サーティ』にみる、ビン・ラーディン殺害までの「真実」|CINEMORE(シネモア)

2012年公開。監督はキャスリン・ビグロー。出演はジェシカ・チャスティン、ジェイソン・クラーク、ジョエル・エドガーソン、ジェニファー・イーリーマーク・ストロングカイル・チャンドラーエドガー・ラミレスクリス・プラットジェームズ・ガンドルフィー。ジャンルは政治、サスペンス。

アルカイーダの指導者であり、2001年9月11日に起こったアメリ同時多発テロの主犯ウサマ・ビンラディンの殺害を描いた本作。

実話をもとにしたフィクション映画ということもあって多少、湾曲された演出もあるかもしれないが、前回紹介した『ボーダーライン』と同様、緊張感に満ちていてリアリティ溢れる作品となっている。

主人公の若きCIA分析官をジェシカ・チャスティンが演じており、彼女の成長の日々とビンラディンのアジト追跡までに迫る。

9.11以降、首謀者であるビンラディンを殺害することが米国の目標となった。そこから10年近くビンラディンの捜索は続いた。チャスティンの同僚たちは捜索を諦めようとする者も出てきてあきらめムードになりかけた矢先、決死の覚悟で見つけ出したビンラディンのアジト。決して道は平たんなものではなかった。これまで同僚がテロにより命を落としてしまったりと散々な目に遭ってきた。それでもあきらめずに打倒・ビンラディンを掲げたアメリカについてゴーマンかましてよかですか

まるでアメリカは『俺たちが世界の警察だ!勝手なことは許さねえぞ!』とジャイアニズムを発揮している。確かにアルカイダのような過激組織は撲滅しなくてはならない。このような過激団体によって被害を受ける人々を救うことは重要課題である。しかし、アメリカのやり方と言うのは人道的ではない。手がかりを掴むために、現地の人間を捕まえ拷問。他国の民間人の命を奪おうがお構い無しである。そもそもこのようにアメリカに対して反抗する勢力が台頭していったのは何故か。それは太平洋戦争終了後に、アメリカやイギリス、ロシアといった白人勢力が自分たちの利益にために勝手に国を線引きしてしまったのが悪いのではなかろうか。だから素直にテロを起こしたアルカイダが悪い!アメリカ万歳などと喜べないのである。物事には必ず原因がある訳で因果応報とも呼べる。アメリカの『気に入らないやつはぶっ飛ばす』精神は異常でござる。

とはいえ本作のラストシーンの彼女の表情はいい味を出していた。ビンラディンのアジトを何とか割り出し、彼の首をとったとてそこに残るむなしさ。強い国でいる限り戦い続けなくてはならない。そんなアメリカが抱えている深い闇を映し出した本作。主人公の彼女は実在しない人物だけど、おそらく特殊部隊の象徴が彼女だったのだろう。