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ミスティック・リバーを観たよ

ミスティック・リバー : 作品情報 - 映画.com2003年公開。監督はクリント・イーストウッド。出演はショーン・ペンティム・ロビンスケビン・ベーコンマーシャ・ゲイ・ハーデンローラ・リニーローレンス・フィッシュバーン。ジャンルはサスペンス。

俳優・監督ともに数々の名作を生んだ巨匠・クリント・イーストウッド監督の本作。いや~このおやっさんは本当にすげえや。アメリカンニューシネマのタダなるぬ雰囲気を醸しつつ、感情を出来る限り排除している登場人物。まさにその姿はハードボイルドそのものである。

おやっさんの作品は何故か肌に合うので、気持ちを落ち着かせたいときに観ている。特に天気のよどんだ日に観るのが格別である。まるでビールの宣伝かのような如くおやっさんについて語っているが、映画も音楽と同じでテンションを上げたいときに観る映画や、逆に気持ちを落ち着かせたいときに観る映画があってもよいものだ。その日その日によって緩急をつけ映画を観るように意識すると、より感情移入しやすい。

 

そんなこんなで本作のテーマは後悔に生きる人々を描いている。舞台はボストン近郊のミスティック川沿いにある町・イーストバッキンガムである。元・ギャングで今は足を洗い雑貨店を営むジミーと家族とともに平穏な日々を過ごすデイヴ。それから州刑事としてジミーの事件捜査に乗り出すショーン。もともとこの3人は少年時代は良く遊ぶ仲だったが、デイヴが誘拐される事件をきっかけに疎遠となってしまう。それから時はたち、ジミーの愛娘が遺体として発見される。僅かな手がかりを頼りにショーンと相棒のパワーズが捜査を進めていく。失意にあふれるジミーはデイヴの不可解な行動から犯人ではないかと疑問を抱くようになる。そこからデイヴの妻による助言のもとに確信へと変わっていく。しかし、本当の犯人はは違った。デイヴではなく、愛娘の彼氏の弟とその友人であった。

このように本作は「あのときこうしていれば」、「これをしなければよかったのに」と言う後悔の念が描かれており、誰も救いようのない映画である。まさにアメリカン・ニューシネマそのものであり、脱・ハッピーエンドに真っ向から反対した映画である。「グラン・トリノ」のように何もしなければ何も起こらない平穏な日々ではなく、何もしなくても何かが起こってしまう救いようの無さが本作にははっきりと存在している。それは運命という目には見えない非科学的な何かで証明のしようがないものである。目に見えないものは存在しないといえばそうかもしれんが、やはり人間には雰囲気を感じ取るという言葉では説明できない感覚めいたものがあるはずだ。上手く言語化出来ない何か。デイヴは誘拐されたその日から深く傷つきトラウマを抱えている。そんな親友が誘拐されるのを見過ごしたジミーとショーン。デイヴは生まれたその時から不幸に苛まれる人生だったのかもしれない。落語でいう『死神』のような人生。それでもデイヴは救われることはなかったけどね。そんでもってジミーだって娘なくしてるし、親友殺しちゃってるし、挙句に犯人違ってるし、なんで俺が・・・と絶望するはずである。唯一ショーンだけかな。順風満帆とは言えんけどどうなんだろ?てな感じで今日も読んで頂きありがとうございました